日本で初めて、手掌多汗症の治療薬が承認!

2023年6月1日、日本で初めて、手掌(しゅしょう)多汗症の治療薬が処方できるようになりました。アポハイドローションと言います。
これまでは、副作用の非常に大きい手術や、専用の医療機器が必要なため限られた医療機関でしか行っていないイオントフォレーシス(時間もかかり面倒な割には、効果があまり期待できないことも)という治療法などがありました。
初めて承認された処方薬は、生活で使いやすいぬり薬(ローションタイプ)です。1日1回、就寝前に手のひらにぬるだけです。
初めて承認されたと言っても、1988年に日本で頻尿の薬として販売されたポラキスという飲み薬と成分は全く同じです。ポラキスは昔からよく使われている薬で、副作用についてもよくわかっています。飲み薬ではなく、手のひらにローションをぬるだけなので、副作用の可能性はゼロでは無いにせよ、非常に少ないと考えられます。

人口の5%以上のかたが、大なり小なり困っている

「手に汗握る」という表現がありますので、緊張する場面では、手に汗をかくのが普通です。緊張場面で手がさらっとしていては、物を持つ手が滑ってしまい、大昔、動物や敵と戦えません。しかし、「手汗」をかきすぎても、手が滑ってしまい、困ります。何事も過ぎたるは及ばざるをごとしで、程度を超えてしまうと、生活上、かなり困るようになります。特に現代の都市生活をするかたは、いろいろな面で困り、社会生活上の支障は、非常に大きなものとなります。さらに、心理的な影響ももちろん大きく、心理的な苦痛と社会的な支障が、病状をさらに悪化させるという悪循環になります。この疾患でお困りのかたには、書くまでもないので、具体的には書きません。

効果のほどは?

発売されて間もないので、効果がどの程度かは、まだ未知のところが多いです。期待していたほどには、効果が無いといわれることもあるようです。ある程度の効果はあるけれど、期待ほどでは無かったというかたは、心療内科的な治療も一緒に行うことをお勧めいたします。
多汗症(精神性発汗)は、心理的な部分で悪循環になっていることがほとんどですので、アポハイドローションによる治療とともに、心療内科的治療を合わせて行うことで相乗効果を上げられると考えています。
10~15歳のいわゆる思春期に、学校という狭い世界の中で、他人を意識し、人目を気にする年齢で発症します。そのため、社交不安障害(対人緊張、あがり症)との関連が大きいです。また、トラウマ体験が積み重なり、その結果、難治性になっている場合も少なくありません。
そのため、アポハイドローションで効果が不十分のかたは、アポハイドローションとともに、社交不安障害やトラウマの治療も同時に行ってみることをお勧めいたします。
もちろん、アポハイドローションのみの処方も致します。効果は個人によって異なるでしょうから、アポハイドローションだけで改善すれば、それに超したことはありません。

アポハイドローションだけであれば、通常の初診予約の日時以外でも、診察、処方いたします。まずは、初診予約のページからお問合せください。