適応障害とは

人間は、生きていく中で、心理的・社会的なストレスを受けています。
通常は、ストレス反応は必ずしも「悪」ではなく、外界からの刺激に適応していくために、必要な反応です。
しかし、ストレスがあまりに過剰なとき、適切に適応できず、仕事などを行うに当たって、様々な障害が生じます。
外的ストレス要因と、ストレスを受ける個人的要因の間で、大きなギャップが生じる場合が、適応障害と言えます。

外的ストレス要因

最近の社会経済的風潮を反映して、仕事でのストレスが非常に過大になっています。
深夜にまで及ぶこともある業務量、中間管理職の責任の重さ、上司からのパワハラなどです。
適応障害の原因となっているストレス要因の除去や軽減が行われなければ、適応障害は、うつ病に発展しかねず、例え休職したとしても、復職すればまた再発することが必至です。
異動・配置転換、業務量軽減など、職場環境を調整することで、改善が期待できます。
人事担当者や産業医の役割が非常に大きな役割を負っていると言えるでしょう
(家族関係がストレス要因の場合には、カウンセリングなどによる家族関係の調整が必要となります)。

仕事のストレスによる適応障害

①仕事の質と量の問題

残業時間が慢性的に多い場合は、適応障害になりやすいです。
いわゆる「三六協定」では、1ヶ月の残業時間は45時間までと、原則的には定められています。
また労働基準監督署の基準では、直近6ヶ月の平均残業時間が80時間を超える場合、過労死の危険性が高くなるとされ、指導を受けます。

②対人関係の問題

残業時間だけではありません。人間関係、職場の雰囲気も大切です。
特に、上司との関係がストレスになることが非常に多いです。
仕事ができ管理能力があって、温厚で理解ある上司ばかりでは、残念ながらありません。
上司としての管理監督の能力が不十分で、部下の気持ちを理解出来ず、逆にやる気をそぎ、本人は正しいと思っていても、部下から見れば、意地悪、パワハラとしか思えない言動を部下に対してするような、上司も少なくありません。

いずれの場合も、環境調整(異動、業務軽減、休職)が重要です。
職場の理解と十分な連携が重要ですから、人事面談が必要になってきます。

個人的要因

ストレス要因が通常の状況からみて、過大で無い場合もあります。
その場合は、個人的要因が、大きな役割を果たしています。
その個人のストレス耐性が、通常期待されるよりも脆弱であれば、容易に、適応障害が引き起こされます。
この場合は、環境要因のストレスを取り除くことよりも、その個人のストレス耐性を向上させることが必要になります。
それには、認知行動療法などのカウンセリングが必要になります。

うつ病に発展

適応障害は、うつ病に発展することが多く、適応障害の原因となっているストレス要因の除去や調整とともに、うつ病に対する治療も必要になってきます。